MDA5(melanoma differentiation-associated protein 5)またはIFIH1(interferon induced with helicase C domain 1) は、ヒトではIFIH1遺伝子にコードされる、二本鎖RNAヘリカーゼ酵素である。MDA5はRIG-I様受容体(RLR)ファミリーの一員である。このファミリーには他にRIG-IやLGP2などが含まれ、ウイルスを検知するパターン認識受容体として機能する。一般的にMDA5は2000ヌクレオチド以上の長さの二本鎖RNAを認識すると考えられているが、一本鎖RNA部分と二本鎖RNA部分を含む高分子量RNA複合体によって活性化されることも示されている。多くのウイルスに対するMDA5を介した効率的な抗ウイルス応答は、機能的活性を有するLGP2に依存している。MDA5によるシグナル伝達カスケードはCARDドメインを介して開始される。がん細胞では、MDA5は細胞性RNAと相互作用して自己免疫応答を誘導することが観察されている。
機能
パターン認識受容体として
MDA5は、二本鎖RNAウイルスのゲノムRNAやRNAウイルスの( )鎖や(-)鎖の複製中間体など、長い二本鎖RNAを検知する。MDA5はRNAに施された多数の化学修飾と相互作用することも示されている。例えば、真核生物のmRNAは5'キャップ直後の1番目と2番目のヌクレオチドは2'-O-メチル化がなされていることが多く、こうした構造はそれぞれcap1、cap2と呼ばれているが、MDA5は2'-O-メチル化の欠如を検出し、こうしたRNAに結合して免疫応答を開始する。
機構
活性化されたMDA5は、N末端のCARDドメインを介してMAVSと相互作用する。MAVSはIKKεやTBK1をリクルートして多タンパク質複合体として機能し、IRF3やIRF7をリン酸化して細胞核へ移行させる。核内では、これらのIRFはI型インターフェロンであるIFN-βとIFN-αの遺伝子の転写を誘導する。
構造
MDA5はATP依存性DExD/HボックスRNAヘリカーゼに分類される。MDA5にはN末端の2つのCARDドメイン、ヒンジ領域、RecA様のHel1、Hel2ドメインが含まれる。そしてもう1つのヒンジ領域によってRNAの認識と結合を担うC末端ドメイン(CTD)と連結されている。CTDには、RNAを認識する正に帯電した溝に加えて、亜鉛結合ドメインが含まれている。
臨床的意義
IFIH1/MDA5の変異はSingleton-Merten症候群やエカルディ・グティエール症候群と関係している。
IFIH1/MDA5のSNPの一部は1型糖尿病のリスクの増加と関係している。
抗MDA5抗体は急速進行性間質性肺炎を伴う筋無症候性皮膚筋炎と関係している。
出典
関連文献
外部リンク
- Overview of all the structural information available in the PDB for UniProt: Q9BYX4 (Interferon-induced helicase C domain-containing protein 1) at the PDBe-KB.
![MDA5重组抗体[EPR2835021]_MDA5抗体(ab315242) Abcam中文官网](https://www.abcam.cn/ps/products/315/ab315242/Images/ab315242-528345-anti-mda5-antibody-epr28350-21-western-blot-untreated-raw2647-mouse-abelson-murine-leukemia-virus-induced-tumor-macrophage-whole-cell-lysate-20-ug.jpg)
![MDA5重组抗体[EPR2835021]_MDA5抗体(ab315242) Abcam中文官网](https://www.abcam.cn/ps/products/315/ab315242/Images/ab315242-2-anti-mda5-antibody-epr28350-21-immunoprecipitation-mouse-spleen-whole-cell-lysate.jpg?imwidth=481)


